第5期科学技術基本計画のレビューから見る日本の現状3

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これは、第5期科学技術基本計画のレビューから見る日本の現状2の続きです。

第5期科学技術基本計画の内容である、以下の項目を評価しており、①-②は残念ながら【成果なし】でした。

①40歳未満の大学本務員・教員の割合→【成果なし】
②女性研究者の新規採用割合→【成果なし】
③論文数
④セクター間の研究者移動数
⑤企業からの共同研究受入金額
⑥研究開発型ベンチャーの新規上場数
⑦中小企業の特許出願数割合
⑧大学の特許権実施許諾件数

今回は③論文数です。

まず、第一に論文とは何かというと「研究の成果」のことです。
つまり「論文が多いということは、研究の成果が多い」という解釈ができます。
では、総論文数はどうなっているかというと、

2013年度(2012-2014)は77,652件
2016年度(2015-2017)は78,747件

と多少増加しています。
(1%程度なので誤差とも言えますが)

ただ、論文数と研究の質とは別です。
数が多ければ良いというわけではないのです。
論文数がその国や、大学の評価の一因となることから、近年、質の悪い論文の急増が問題となっています。
そのため、ひとつの指標として「被引用回数」というものが注目されています。
これは、ある論文が、別の論文で引用された回数を表します。
他の論文でも引用されている→質の高い論文だろう、という解釈です。
(まぁこれも「自分の論文の中で、自分の別の論文を引用する」といった被引用回数稼ぎがちょっと問題になっていますが)

第5期科学技術基本計画でも、論文数の増加だけでなく「被引用された論文」の割合に着目しており、以下のような目標を掲げています。

「世界中の論文の、被引用回数のランキングを作り、そのトップから10%の範囲の中で、日本の論文の割合を10%以上にする」
という目標です。

ちょっとわかりにくいですけど、例えば被引用回数のトップから10%の論文数が100だとしたら、その内10を日本の論文にすることが目標値、ということです。

で、この結果は以下の通りです。

最新値が2016年度までしかないですが、8.4%と未達です。
2020年までに10%はちょっと難しそうです。
ただ、2013年度では8.2%なので、少なくても増加傾向であることは確かです。

ちなみに他国との比較はこんな感じです。
中国の成長が著しいですね。
また、中国の成長に比べると地味ですが、韓国も右肩あがりに増加しています。
その反面、米国の減少はとても意外で、気になるところです。


さて、今回の③論文数に関しては、今までの
「①40歳未満の大学本務員・教員の割合」
「②女性研究者の新規採用割合」
に比べると、成果があったのではないでしょうか?
(前の2つで、ハードルが下がっているせいでもありますが…)

次回は④セクター間の研究者移動数について見ていきましょう。